外が見えない状態でのホールディング、アプローチなど、計器飛行の技術を一通りさらった後は、待ちに待ったIFRクロスカントリーです。もちろん、離陸直後から着陸直前までフード着用、外はほとんど見ることができません。この日はホノルル−カウアイ−ラナイ−ホノルルの区間、計4時間半近くをフードを着けて飛びました
■「乗客」を乗せて
訓練中なのでもちろん教官が同乗しますが、この日はさらに、日本人訓練生のミーコさん、ロナウド教官の友人で日系航空会社に勤めるダシルバ氏も後席に乗ってきました。ミーコさん、訓練の合間を縫っての遊覧飛行をもくろんだのでしょうか…後学に役立ててもらいたいというのがあり、ダシルバ氏は現役のコックピットクルーでもあるので、さらに気合いを入れて臨みます。
ホノルルでは、準備が済んだらまずクリアランスデリバリーを呼び出して出発のクリアランスをもらいます。「Honolulu Clearance, Cessna 123AB, IFR to Lihue, with Alpha,」「Cessna 123AB, clear to Lihue via Keola 2 Departure, 258 degree-radial Honolulu, Keola, 148 degree-radial Lihue, direct.Maintain 6000, fly heading 120 after departure, departure frequency 124.8, squawk 1456.」無線機、VOR、その他計器類を全部セット、「ケオラ2出発方式」のチャートとエリアチャートを取り出してルートを確認、滑走路へ動き出します。
ホノルルは大きい機体から小さい機体、速いものから遅いものまで、さまざまな飛行機が飛来します。自分の離陸の順番がジェット旅客機の直後ということもよくあるので、後方乱流には十分注意しないといけません。幸いにしてまだ経験がありませんが、大型旅客機が別の大型機の後方乱流に入ってひっくり返りそうになったことがあるという話も聞いたので、できれば目視で確認しながら飛びたいところです。もちろん、計器飛行状態でそうなったらすかさず「翼を水平に」を順守します。
「Cessna 123AB, cleared for take off. Caution wake turbulence.」ちょうど進行方向を斜めに交差する滑走路を737が離陸していきました。さほど大型の機体ではありませんが、あなどれません。一応右旋回するポイントを考えておきます…といっても、旋回前に「ハイ、じゃぁフード着けて」と言われるので、見張りは教官まかせになりますが…。
出発管制が呼んできます「Cessna 123AB, traffic 2 o'clock 5 miles westbound is a B717 descending to 2000,」「Traffic insight, Cessna 123AB,」「Thank you, maintain visual separation with the traffic. Turn right heading 270 to intercept Honolulu 258-radial, climb and maintain 6000,」などなど、交通情報と指示が巡航に移るまで繰り返されます。
■お気楽な巡航
訓練機のセスナ172SP、おなじみ高翼単発機の最新型で、新しい機体を買い始めた訓練校などではかなりポピュラーになりつつあるようですが、まだ日本ではまったく同じ仕様(出力180馬力)のものはないようです。しかし、搭載機器がまったく同じ型のものがいくつかあるそうで、もしかしたら日本で乗っているという方もいるかもしれません。この型にはオートパイロットが付いているので、VOR(またはGPS)をセットして少しノンビリします。
お金持ちの訓練生から借りたという計算機型のコンピューターを持ち込んだロナウド君、カリフォルニアでの訓練生時代もこのようなコンピューターを持ち込んでTASやら残燃料やら計算していたとか。さらにはGPSで「RJAA "direct"」と成田までの方位、時間、距離を出して「うわっ、すげえ遠い!」などと言いながら笑ってるのを横目に一緒に笑ってましたが、この時間、日本では計算盤を使った風の算出などをするとか、経由点での経過時間を記録するとか、かなり精密な訓練をしているという話を後日耳にし、実情の違いはあれ「あんまりノンビリし過ぎてもいけないのかな…」などと考えた次第です。
