自家用の訓練では、ひたすら飛行の基礎を体得しました。対照的に、IFRでは「考える」訓練がかなり大きな位置を占めるようになります。特に海外で訓練する場合、次の訓練までに時間が開きがちな私達にとって、これは何を意味するのでしょうか…「訓練で時間と場所の制約がなくなる」、私はあえてそう言いたいと思います。学科はいずれやらなければいけませんし、各種規則・チャート類も暇があればいつでも読めます。さらに、IFRは飛行訓練も自宅で十分にできます。
■PCで心ゆくまで
またまたPCシミュレーターの登場です。自家用の頃と違い、IFRに必要な「計器“だけ”を見て正確に飛行する」訓練でこそ、シミュレーターを十二分に活用したいものです。
PCシミュレーターで物足りないのは「体感」ですが、「体感を無視」するよう教えられるのがIFRの飛行訓練。純粋に計器しかよりどころのないシミュレーターは、こうした前提で正確な操作を行うための格好の訓練装置ではないでしょうか。事実、何人かのプロパイロット(ラインパイロットも含む)に聞いたところ「シミュレーターはいい練習になるよ」と答えていました(プロが使う「動くシミュレーター」ではなく、PCショップで買えるあのシミュレーターです)。
しかも、1回入手してしまえば、お金の心配なく、心ゆくまでさまざまな練習ができます。進入路の右側に山肌が迫っているような、実際の飛行では一歩間違えば死んでしまうような進入も(本当にこういう所があるのを知って冷や汗をかいたものです…)、シミュレーターでは至極安全に、しかも繰り返し練習できます。
蛇足ながら、訓練時間に算入できる訓練用PCシミュレーター(PCATDと呼ばれます)というものがあります。PCATDの基準を定めたFAAの通達によると「資格(計器飛行教育資格)を有する教官の指導下で、PCATDによる訓練時間のうち10時間を超えない時間を計器飛行の訓練のための飛行時間に算入することができる」とのこと。
これに必要なセット1式はさほど高いものとも思えないので(それでも計30万円ほどしますが)、同好の士を募って共同購入、有資格の教官に教えてもらい、後は飽きるまで(無意識に操作できるようになるまで)練習する、というスタイルも考えられます。アメリカに「IFR速習コース」というものがいくつかありますが、そうしたコースには「PCATD利用無制限」を売りにしているものも多いようです。
■英語だって練習しやすい、はず
IFRでは絶対に交信は避けて通れませんが、「英語が苦手で…」とお嘆きの方、航空英語の教材は自家用よりもIFRの方がたくさんあります…趣味の航空ビデオ・DVD・CD、また、お持ちの方は航空レコード・テープを活用しましょう。
これらに出てくるのは旅客機ですが、IFRでは基本的に旅客機も自家用の小型機も同じような指示を受けて飛びます。違うのは機体のスピードだけ。もっとも、高速機のパイロットには我々の存在はずい分厄介なこともあるようですが…もちろん、VFRで出てきたような、IFR用の交信シミュレーターもあります。
■早速準備を!
IFR特有の各種規則もたくさんあります。普段はほとんど使わなくても緊急事態にはそれに頼る以外ないという、VFRでも見られたような約束事も多くあります。学科の内容もそれに比例して増えるので、試験準備にかかる時間が相応に多くなります。私が試験準備を始めようと問題集を見た時は、ページが自家用の5割増あったのではないかと思ったほどです(実はさほど大したものではありませんでした)。
いずれにしても、どれもいつか必要になる内容ばかりです。資格を取ってからも定期的に復習を繰り返すのは変わりませんので、IFRを志す皆さん、これを読み終わったら早速準備を始めましょう!
