自家用編、お読みいただきまして誠にありがとうございました。再び天一郎です。
ようやく自家用操縦士資格を取得しましたが、まだまだ大きな制約があります。そう、雲が多すぎたら飛べません。夜も飛ばない方が安全です。外が見えないし、周辺に他機がいても分かりません。相手も自分を見つけてくれないでしょう…飛ぶ条件に制約が加わるのでは、せっかく取った資格の面白みも半減、足かせをはめられているようなものです。
その足かせが解ける資格が、計器飛行証明です。英語では Instrument Rating と言いますが、この資格を持っていると行える飛行方式「計器飛行方式」(Instrument Flight Rules)にちなみ、一般的に「IFR」と呼ばれています。有資格者を「IFRパイロット」などと呼んでいますが、これは自分の能力の及ぶ限りあらゆる条件下を飛べる訓練を受けた「卓越の称号」と、私は勝手に思っていました。向こうに雲が立ち込めている時、他のパイロットが飛行を中止するのを横目に淡々と飛行計画を練るIFRパイロットの姿、私は非常にうらやましく思ったものです。
そんな私も、しばらく経ってからIFRを取得しました。正に憧れのIFR、資格取得後は図に乗って人があきれるような飛行を繰り返しています。ある日の飛行をちょっと紹介すると…
1930 ホノルル−カウアイ 2100、
2130 カウアイ−ヒロ 0030、
0040 ヒロ−ホノルル 0300
…この飛行の翌日、飛行計画を提出するためにFAAの事務所に電話すると、「あ、じゃぁ今日はヒロ行かないんだ?」と、電話で応対した通信官の言葉。その通信官、カウアイで飛行計画を提出した際に無線で受け付けてくれた人らしく、「こんな時間に?小型機で?ヒロ?しかもその後ホノルル?」と思ったそうです。我ながら無茶をしたものですが、これも管制官がレーダーで常時監視し、決められた飛行コースを無線標識(あるいはGPS)をたどって飛ぶのが前提となるIFRだから安心してできることです。
雲に入った?すぐに目の前の計器パネルだけを見て飛んでください。標識が遠い?管制官が誘導してくれます。目的地が見えない?電波を捕まえて降りて行ってください、滑走路はその先です…。
旅客機は基本的にすべてIFRで飛行しています。頻繁に管制官と交信する気分は、さながらいつもエアバンドの向こうにいるプロパイロット。これまでとは別次元の飛行体験が楽しめることでしょう。もちろん、物が見えないことを前提にした技術を身に着けるので、飛行の幅が広がりますし、より安全な飛行にもつながります。
有視界(VFR)で飛んでいる最中に天候が悪くなることもありますが、IFRを持っていればすかさずIFRで飛び続けることができます。「Unable VFR, request IFR」は、そんな困った状況から抜け出すための切り札。次回も楽しく飛行を続けられる可能性が格段に高まります。パイロットとなった今、訓練前の準備も、あらゆる意味でやりやすいのではないでしょうか。
