野外飛行は同乗3時間、単独5時間をこなすことになっています。
私はホノルルからマウイ島へ飛び帰りにラナイ島を経由してホノルルへ戻ったのが
最長距離でしたが、ここでは同乗・単独の中から印象深かった体験を2、3ご紹介します。
■滑走路どこ?
ホノルルを離陸してモロカイ島の北側を通過してマウイ島へ進入するのがよくある
パターン、マウイ・カフルイ空港は進入管制と空域進入前に交信を済ませておく
「クラスC」空域で、大型機の発着もある空港です。巡航高度の1500フィートで進入しますが、携行した航空図の方角を見ても、何かの町並みは見えるものの、滑走路らしきものが見当たりません。
同乗した鬼軍曹が「見えるか?」というので「チャート(航空図)にある湾はあるけど…」と言うと、「もう少し左に機首を向けて飛べ。見えにくいが、あそこに確かにある!」と確信に満ちた口調で言うので、しばらく半信半疑で飛んでいました。
すると、パラセーリング中の人々が見え始めた沿岸数カイリの所でようやく空港全景が確認でき、いつものように滑走路を左前に見ながら直角のコースへ入るべく降下していきました。
■何だこの風は…!
このコースでマウイへ進入すると、着陸滑走路は5番(磁方位050)になります。左旋回して滑走路に正対し、あるところまでは順調に降下していきますが、接地直前の垣根(実際に何かは不明)を越えると突如として風、しかも横風が強くなり、いい感じで直進していた感覚を見事に裏切ってくれます。
すかさず横風対策に移りますが、接地まで余り時間もなく、せいぜい直進を保つのが精一杯。落着は免れたものの、接地後にあおられそうになり、転覆の恐怖が脳裏をよぎりました。
マウイを再び離陸すると、すぐに指定方位へ右旋回して上昇を途中で止めるよう指示されます。ちょうど大型機が北から進入するために上空を通過するためですが、その間の揺れること揺れること…大型機と遭遇すると、管制官から必ず「後方乱流に留意するように Caution wake turbulence」と言われますが、その前から風に吹かれ放題。「木の葉のように」と形容されますが、ヘッドセットがずれる音なのでしょうか、かすかに「シュコーン」という空気漏れの音がするたびに速度計と高度計の針が微妙に変化するため、特に低高度を飛行中は気が気ではありません。
■すいません、コース間違えました…
そのうち上昇を許可され、クラスC空域も離れます。この頃には風も穏やかになり、眼下の海に目をやる余裕も出てきます。計器を次の目的地ラナイ島の無線標識に設定、ホノルルレディオと交信して到着予定時間を通報します。
少し右旋回すると、大きめの島が目に入ってくるので、それを目指して飛行を続けました。マウイ島から意外と近い感じです。下には人気のダイビングスポットという、三日月の形をしたきれいな島が見えています。さて、そろそろ目的地。高度を上げて、レディオにも通報して…。
ところが、どうも様子が変です。切り立った崖が見当たらず、妙に雲が多く、赤茶けた大地ばかりで、しかもいつもの場所に飛行場がない…島を1周してしまいましたが、そんなに簡単に1周できる島ではありません。そう思い、もう一度計器をよーく見てみると「ラナイは西へ30カイリ」とあります。やってしまいました…機位喪失(ロストポジション)です。
あらためて計器を設定、針が真ん中に来るように、そしてその方角に飛ぶように機首を合わせ、レディオに「位置を間違えました。現在ラナイの南東30カイリ、所要時間約20分」と訂正を入れました。
間違えたのはカフラウェ島、軍の実弾演習が行われる所で、爆弾の投下目標などが置いてあるそうです。ノータムでもたまに「カフラウェで実弾演習あり。沿岸から2マイル、高度5000フィート以下は進入しないように」と通知されていることがあります。その日は特に何も聞いていませんでしたが、我ながら無事で良かった…。
