Last Update : 2003/03/11

とことんハードに

さて、訓練2日目。この日からしばらくは軍出身の鬼軍曹が担当教官になります。スクールで最も経験豊かな教官の1人で、気のいい面白い人ですが、ひとたび車輪が地面を離れた瞬間から着陸してエンジンを止めるまでは一切妥協のないスパルタンな訓練でも知られました。あまりの厳格さにめげそうになったこともありますが、訓練生である私を確実にサポートしてくれたことに変わりはなく、時に非常に頼もしく、今でも教訓にしていることなど、後につながることをいろいろ叩き込まれました。

スパルタンな訓練はエンジン始動後の誘導路の走行から始まります。少しでも線をそれると「線の上だ!」少しカーブしたところを曲がり損ねると「自分が機体を扱える速さで走れ!」。離陸直後は「ラダー(方向舵ペダル)!ボール(滑り計)は真ん中!」「上昇率!」「速度!」「翼は水平!」。水平飛行中に50フィート(15メートル)程度上下しようものなら「高度計!」「翼は水平!」「(エンジンの)回転計!」そして、また「方向舵!」…。

訓練が進んで参ったのは、姿勢指示計(AI)の針が1ミリにもならない程度上下していたのを見て「水平に!」と言われ続けたことです。とは言え、実はこれが非常に重要な習慣で、確かにこのわずかなズレを放置しておくと機体は自分の意図するルートから徐々にずれていってしまいます。特に高度を変える時、どのくらいの割合で上昇・降下するかということは高度計下の昇降計を見て参考にしますが、実際の操作からこの指示が安定するまで若干の時間差があり、この時間差なく、例えば「毎分500フィート」の上昇・降下率で高度を変えるには、正面にあるAIで上下にどのくらいの角度で飛ぶと希望する上昇・降下率が得られるかを知り、次いで昇降計で実際の数値を確認する、という手順を訓練の段階で体得できるようにします。後の計器飛行証明の訓練にも関わってきますが、上下に5度程度姿勢を変えるだけで見た目にはかなり急角度で飛行している感覚があるので、慣れてくるとこの1ミリ程度のずれが自分でも気になるようになります。




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