出ずっぱりの天一郎です。「敵を知る」などというと少々物騒ではありますが、対象を研究して効率のいい訓練プランを練るのは有益なことかと思うので、訓練前に不透明と思われる部分についていくつかお話ししてみます。
訓練を始める前の不安材料はいろいろありますが、大雑把に言って「到達目標がどこにあるか分からない」という点が挙げられるかもしれません。訓練校探しにしても、免許取得までの時間数は示されるものの、どうしてその時間が必要なのか、という疑問が出てくることと思います。自家用で最低40時間の飛行経験が必要ですが、それではどんなことをするのでしょうか。
■法律では
アメリカ航空法(FAR)にパイロットの資格要件を定めたパート61という章がありますが、その109条に自家用操縦士に必要な飛行経験が列記されています。総飛行時間は最低40時間で、次の要件を含むものとなります(単発機の例)。
●飛行教官による20時間の同乗飛行で、以下の要件を満たしたもの
1.3時間の野外飛行
2.次の要件を満たす3時間の夜間飛行
a.総距離100カイリの野外飛行
b.場周経路による10回の離着陸(着陸は完全停止によるものとする)
3.計器のみを参照しての直線飛行、等速上昇・降下、指定方位への旋回、
異常姿勢からの回復の各操作方法、および計器飛行に関する無線通信、
航法装置・航行援助施設、レーダーサービスの利用方法
4.実地試験前60日以内の3時間の準備訓練
●以下の要件を満たす10時間の単独飛行
a.5時間の単独野外飛行
b.総飛行距離150カイリの単独野外飛行で、3地点での着陸(完全停止に
よるものとする)および50マイル以上の区間を含むもの
c.管制塔が運用中の飛行場で行う、場周経路による3回の離着陸(着陸は
完全停止によるものとする)
飛行に関する総合的な訓練項目(飛行前準備などを含む)は別の条文に列記されていますが、これは毎飛行を通じて教官から逐次指示されるので、そこで確実に手順として覚えることになります。
■単独飛行に向けて
当面は、誰の助けも借りずに無事に飛行機を離着陸させられるようになることが最初の大目標になります。最初の単独飛行「ファースト・ソロ」です。教官がソロを許すということは、すなわち一通りの操作を自分でできるようになったと認められたということで、これが早いうちに認められれば上記の40時間のうち10時間分が早く終えられることになります。
何時間でソロに出られるか、訓練生の集中力が問われるところではありますが、ここでは、純粋に飛行機の操縦技能を判定するので、できれば事前に旋回、失速などの各種操作を何度も繰り返せるのが望ましいかと思います。実機の感覚はとても得られませんが、操作そのものはシミュレーターでもある程度の確認が可能です。
■PTS
ではどのような操作が必要なのか。アメリカでは実地試験を前に、各種操作の判定基準を定めた「Practical Test Standard」(PTS)と呼ばれる実施要領を入手することになりますが、実地試験はその内容に沿って行われます。
FAAのホームページでも入手できますが、そこに審査項目などが網羅されています。ここに、離着陸のほか、通常旋回、急旋回、上昇・降下、失速などの判定基準が書かれているので、ある程度知識があればそれにそって事前に練習することができます。日本語でも操縦教本の類が売ってますが、それを読んでも参考になるでしょう。