こんにちは、天一郎です。Runwayさんもご指摘の通り、地上の管制官(ATC)との交信は飛行中のパイロットの命綱と言えます。特に多忙な空域では、管制官がレーダースコープを見ながら飛行機を手早く列に並べ、各飛行機の運航をできる限り円滑に進めるよう苦心する様子がうかがえます。
そのため、同時に複数機を担当する管制官はえてして早口で話しがちですが、決して聞いたことのない文章を話しているわけではありません。定義が厳密に定められた用語を使ってパイロットとの意思疎通を図っています。私の知る範囲では、英語が母国語のアメリカのパイロットと管制官はこの厳密さを微妙に逸脱しつつ交信しているように見受けられることもたまにありますが、外国語話者としてはこれにひるむ必要はありません。堂々と管制用語を駆使して安全に飛びましょう。「通信は技術」です。
■言い直して欲しい時
ちょっと上級編になりますが、管制官に何か言われ、何かを聞き取ったものの今ひとつ自信がない場合、「confirm 〜」と言って、言われた内容を確認する方法があります。一般には「say again」と言ってもう一度聞き返すことをためらうな、と教えられますが、一部にはパイロットが置かれた状況を知らない管制官がいるようで、明らかに不快そうに指示を繰り返す場面にも遭遇します(say again をためらうな、という警告は常に最重要な教えであることに変わりはありません)。そんな管制官に、丸々全部言い直してもらうよりも「聞き取ったけど確認してほしい」というニュアンスを込めて使うのが confirm かもしれません。
この confirm、高度、針路、周波数など、ある数字を確認するのに有効です。一例ですが、地上から「Cessna●●,contact Honolulu Approach on 119.3,」と指示されたことがありました。「119.3」は航空路管制の周波数、ホノルル進入管制は「119.1」のはずでした。そこで「Confirm 119.3 for Honolulu Approach, Cessna●●,」と言ったところ、「Contact Honolulu Approach on 119.1,」と言い直したので「Roger,」と言って周波数を切り替えました。
その他、有視界飛行で多忙空域に入る場合もレーダー管制を受ける場合がありますが、その際に飛行高度を指示されることがあります。高度を間違えると他機とのニアミス、または空中衝突の危険性も出てくるので、十分に確認しておきたいところです。
有視界飛行で多忙空域「クラスB」に入る際、こんな指示を受けたとしましょう「Cessna●●, cleared into Class-B airspace via Interchange. Maintain 2000 feet until further advised.」割と短い部類の指示ですが、最初は舞い上がって数字を取り違えることも十分にありえます。復唱する時に「Cleared into Class-B...」で詰まってしまいました。こんな場合に限って後続機が何機も空に輪を描いて待機しています。すかさず「...confirm maintain 2000?」と聞いてみましょう。管制官は「That's correct」または「Affirmative」と言って正しいことを確認してくれるでしょう。
■別バージョン
同様の用語に verify というものがありますが、これは管制官からレーダーに表示される数字と実際の数値を照合するために使われることがよくあるようです。「Cessna●●, verify altitude 3500 feet,」と言われ、実際は3100フィートだったとします。そんな場合は「Negative, passing 3100 to 3500,」と答えます。
■文法は飛ばして
用語を適切に組み合わせることで簡潔に用を足すことができるのが、管制用語の特徴です。これまでに習った標準的な英語の文法よりも簡単に用いることができるものです。
標準会話では、人にものを頼む時に「Can you give me 〜」などの表現を使ったりしますが、管制用語では「Request 〜」で終わりです。高い高度に上昇したい場合は「Request higher」周波数を知りたい場合は「Request frequency for 〜」などなど。
また、継続中の飛行ができなくなった時、機体の性能上の問題で管制官の指示に従えなくなった時などは「unable」を使います。私の夜間飛行で、有視界で出発したものの雲が出て感覚を失いかけ、計器飛行方式に切り替えるために「Unable continue VFR, request IFR to ●●」と管制官に要求し、許可を得てそのまま計器飛行方式で目的地に向かったことがありました。
■パズルのように
数ある用語の組み合わせで簡潔に要領良く交信することで、管制官からも迅速なサービスが受けられます。流れに乗るまでに少々の慣れが必要ですが、自分の飛行状況が分かるにつれて交信技術も向上しますし、交信技術の向上で飛行にも余裕が出てきます。
実際にはパターン化された交信が多く、すぐに覚えてしまえるものが多数あります。交信に数多く触れることが上達の秘訣ではありますが、パターンを多く知っていれば空中での対応も早くなります。考える前にどんどん聞きましょう。
